#takeotoilet の立ち小便

寒くなりました。内陸部では氷点下を記録する日もあらわれ、12月とは異例の寒さが続いています。
寒く乾燥した内陸部では、ついついコーヒーなどの温かい飲物に手を伸ばしがち、おのずとトイレに出向く機会が多くなります。
下のハナシで恐縮ですが、ご婦人方とちがって、男子の小用はオープン。偉い人もそうでない人も
“便器の前では平等”
それが案外よいコミュニケーションを生み出すのですよ。

で、さて…
どうしても、イライラが募るのが、

指定管理者制度の最前線−地方分権時代における図書館の可能性
 http://2012.libraryfair.jp/node/1254

まぁ、関係者のお祭り騒ぎのこと

TSUTAYA公共図書館の運営を!」今年最大級のトピックの当事者をお招きして
佐賀県武雄市が市図書館の運営をカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)に委託する計画は、公共図書館界にとって今年最大の話題でした。否、情報社会の進展に図書館が如何に対してゆくべきかを模索している図書館界全体にとっても大きな論題といってよい。実際に、様々な賛否の声があがっています。 本フォーラムでは、その当事者である樋渡啓祐・武雄市長またCCCよりこの計画に携わる高橋聡氏をお招きし、その構想と実際ひいては指定管理者制度のありようについてお話いただきます。

この議論。いままでの、「(指定管理者)なじまない論」にとらわれない議論を展開したこと自体は評価されてよいと思いますが、この速記録を読んだ範囲では、首を傾げざるを得ませんでした。

まず、サブタイトルにある

地方分権時代における図書館の可能性」

ここでいう“地方分権”がなにをさすかよくわからないが、地方分権一括法案以降の制度改革に限定するなら、図書館を含めた社会教育施設に関する限り、地方自治法の改正〜指定管理者制度の導入〜しかみるべきものはありません。そもそも「地方分権」とは中央=国家の権力を地方に分かつことであり、従来国の事務事業とされていたものを自治体に「委譲」することであります。
その点、図書館等社会教育施設は、図書館法で地方公共団体が「設置」「運営」が定められ、国による関与は、助言・示唆レベルにとどまりました。これは戦後、真の意味での“地方分権”として「地方自治の本旨」の実現が予定されいたからです*1。そのような法制度・政策を無視するようなカタチで「地方分権」を前面に打ち出しても、しっくりこないのは明らかです。

あとは、細かいところで…

まず、武雄市に関する限り、セキュリティ・個人情報保護の観点で様々な疑義・疑問が生じていて、

・図書館の自由と武雄市図書館と図書館戦争のようなもの #takeolibrary
 http://www32.atwiki.jp/librariesfreedom/

中には、施設や行政そのものへの信頼・信用を消失せしめるような重要な案件もあるのですが、そのような「声」とか「心情」をまったく触れず・ツッコミもなく、おおよそ市民感情と乖離した議論に終わった印象があります。

また、“指定管理者制度に詳しい”と、司会者に持ち上げられた、南学氏(神奈川大学人間科学部教授)の

武雄市の事例は非常におもしろいと思っている
•今回の武雄市新図書館構想は50年ぶりのモデル転換の可能性がある

というご発言にも、かなり無責任。
「モデル転換」についていえば、南センセーは「無料貸本屋」を批判しているが、武雄市では、なにかと問題あるTポイントを付与してまで、貸出利用「促進」を図ろうとしているのですから、まったくかみ合っていない印象があります。
一番笑えるのは、市長の

世間から「旭山動物園金沢21世紀美術館武雄市図書館」といってもらいたいと思っている

という意気込みですね。旭川市(旭山)も金沢も、各々来館(園)者のことを考え、「目線」とかニーズを一所懸命考え、特に旭山では「現場の長」がモチベーションを高め、ボトムアップと意識改革を行なった結果ですね。今回の武雄のように、完全なボトムダウンで
「他所(代官山蔦谷書店)からノウハウを導入」
するのとは「天」と「地」ほどの差があります。

このフォーラムの記録を見るかぎり、真の意味での「地方分権」が議論されたとは思えないですね。むしろ皮肉なことに、“中央から地方へ”権力を移動させることで、自治体首長の権力が増大し、「住民自治」「市民社会」そのものを脅かす可能性を示唆する内容となりました。

で、今回のMVPは、TRC=図書館流通センターの方。突然無茶ぶりに対し、

改装に関しても、自分は図書館のトイレはきたないので、全部変えたいと思っている。


まぁ、図書館施設のアメニティとかアコモデーションを語るのに「トイレ」を持ち出してくることが(偶然か意図的かはわかりませんが)スゴい。おそらく、Twitterのハッシュタグ「#takeotoilet」*2でのあてこすりをしたのではなかろうかと妄想してしまう。さすがTRC。スゴいぞTRC。

まぁ、このフォーラム。私の目から見たら、同好の士がトイレで用を足しながら、楽しく語った…「立ちショントーク」という感じでしょうかね。

*1:図書館の運営に関していえば、結果として「協会」とか「問題研究会」などが指導・イニシアブチブをとるようになり、結果的に「画一化」されてしまいましたが…

*2:詳しくは、TwitterかTogetterで